【レポート】L.H.C Vol.6「ブランディングをHackせよ」

前回からイベント名称も「Life Hack Camp(L.H.C)」と改め、山陰PD研のイベントも今回で通算6回目となりました。
今回のテーマは「ブランディングをHackせよ」と題して魅力あふれる地「八頭町」を舞台に新たな試みもプラスして行われたました!

早速イベントレポートをお送りいたします!

なお、今回も株式会社サービシンク 代表取締役 / テクニカルディレクターの名村晋治さんと山川製作所の山川祐一郎さんをゲストとしてお招きいたしました!(いつもありがとうございます!)

イベントの概要はこちらを御覧ください。

今回の舞台は鳥取県八頭町!「見学ツアー」で八頭町の魅力を感じる。(太田邸)

今回のイベントでは、「オプションイベント」と題して、今八頭町で精力的に活動されている施設を巡る「見学ツアー」を開催しました。

その一つが、国登録有形文化財「古民家 太田邸」です。

太田邸とは?

 太田邸は、むかし因幡国(いなばのくに)と呼ばれていた鳥取県東部の山あいの町、八頭(やず)にあります。
 主(あるじ)の太田家は、明治から大正にわたって三代の当主が村長を務めました。また大正期には、敷地の一角に地域第一号の郵便局を開設し、その初代局長に就任しています。さらに広い山林、田畑を所有し、養蚕、家畜の飼育も手がけていました。
 そのように、土地の名家であり、地元産業の中心的存在でもあった太田一族の住まいが太田邸です。

 主屋は明治期に建てられ、随所に拭漆(ふきうるし)で仕上げた建具を用い、精緻な細工を施した調度類を配した贅沢な造りになっています。
 新建(しんだて)と呼ばれる離れは、昭和初期に曹洞宗管長を迎えるために建てられました。主屋とは趣を異にし、素木の良材を多用して、すっきりとしていながらも上質な造りの建物です。
 客を迎える正面の表門に続く門長屋の一角は、大正末期に郵便局開局にあわせて改造されました。当時洋風建築の多かった他局とは異なる和風の外観が目をひきます。

 五代目当主の没後家を守ってきた夫人が亡くなり、太田邸の門はしばらくの間閉ざされたままでした。
 しかし近年になって、「典型的な因幡地方の豪農の近代和風住宅」としてその価値が認められ、2017年に『国登録有形文化財』の認定を受けています。

国登録有形文化財 古民家 太田邸ホームページより引用

なぜ、今回太田邸様を見学ツアーの一つとして決めたかというと、古くからある建物の素晴らしい作りや時代を感じる装飾などから現代に生きる自分たちが新たなインスピレーションを感じることはもちろんですが、長い年月により散逸したり老朽化によって失われたものもある中で建物をリノベーションにより復活させ、現代でも活用されているという点でした。

歴史を感じさせる造りはそのままですが、それをただ眺めるために改修するのではなく、様々な活動が行えるように再生され、すでに多くのイベントや活動の舞台として利用されている太田邸を見学することで、参加者の方々にも新たな発見や古き良きものを今の時代に合わせて活用する、見直すといった機会につながればと思い企画しました。

当初は今回のイベントの会場の一つとして検討していたのですが、諸々の事情により残念ながら見送ることになりました。それでも太田邸の素晴らしさを体験してもらおうと、時間を短縮して見学ツアーという形で今回のイベントに組み込むことにしました。

結果としては、参加者の方々からは大変好評をいただき、「次回のイベントでは本格的に会場として検討して欲しい」といった声を頂きました!

やはり、見る人が見ると、色々な気付きがあり、「そんなところにも興味を持たれるんだ!」といったことが多くありました。

今回は約1時間半という短い時間でしたが、太田邸を管理されている株式会社QUON(クオン)の松井様のアテンドで太田邸を隅から隅まで案内いただきました!その風景をいくつかピックアップしてご紹介します。

建物の一角は大正時代に郵便局としても使用されていました。現在はカフェとして整備されており、金、土、日のみ営業されています。ワークショップや飲食店経営をされる方も募集されておられます。

「この板は相当だよ」と名村さん。そこに注目します? でも、そういうところが至るところにあります。

手入れをされたお庭。苔と木々の緑がとても鮮やかでした。

足を踏み入れると、どこか懐かしい感覚。

文机と長火鉢。机の上には当時使用されていた帳簿など、当時と同じように配置されています。

こちらは竹ペン。こういった普段から使われていた道具も残されていました。
文具好きの方には刺さるアイテムかも?

茶の間。このようにテーブルを置いて会議や食事会など様々な利用を想定されています。
面白いのは、なるべく当時の形を崩さないように、見えないところにガスや電気を新たに引き直しておられる点です。

奥の間。こちらの建屋は昭和時代に建てられたとのことで、柱に使われている木も違い、部屋全体の雰囲気が大きく違う事がわかります。ここで祝言形式の婚礼もされているとのこと。

蔵を改修した多目的スペース。100インチのプロジェクタ、冷暖房も完備です。
ここでプレゼンバトルをしても面白いかも!と想像が膨らみます。

また、今回は特別に改修中のエリアも見学させて頂きました。

破れてしまって改修待ちのふすま。その中身が魅力的です。「これはこれで価値があるよね」という声も。

「昔の書体って面白いねー」「字ちっさ!」
このあたりの会話はデザイナーさん達から聞こえてきました。

書棚を見ると無造作に積まれた古い書が。
「孟子!?論語!?これ、めちゃくちゃ貴重なものですよね?」興奮気味に拝見させて頂きました。

今回始めての試みとして、見学ツアーを企画しましたが、参加者の方々からも好評で、純粋にやってよかったと感じました。
土地や建物に魅力があり、そこで取り組む方々がエネルギーに満ち溢れていると、その魅力がさらに何倍にもなって人の目に映るのだと感じました。
これは観光資源の再発見や、コンテンツの掘り起こしといったことにも通じるものではないでしょうか。

※なお、今回の見学ツアーでは、もう一箇所訪れているのですが、施設様の都合上今回はレポートを控えさせていただきますが、
 そちらも大変素晴らしい施設で、参加者の方々からは大変好評を頂きました!ご協力いただき、ありがとうございました!

会場を変えて「隼lab.」でのメインイベントです!

約1年ぶりに隼lab.に帰ってまいりました!
隼lab.さんは、閉校した学校を活用して、多目的に利用できるスペースや、食事が楽しめる公共スペースなども提供されておられます。
2018年に行われたイベントでは、ここで「第3回プレゼンバトル コンビニドリンク頂上決戦」が行われました。

メインイベントが始まる頃には雨がポツポツ…。
あいにくの天気となりましたが、イベントは盛り上がって参りましょう!

第4回プレゼンバトル振り返り

今回、まず最初に行われたのは、7月に行われた「Life Hack Camp Vol.5」の第4回プレゼンバトル「コンビニアイス夏の陣」の振り返りでした。

第4回プレゼンバトルでは、岡山から参加いただいた黒田和美さんがチャンピオンに、山川裕一郎さんが2位という結果でしたが、その時の動画を参加者で視聴し、改めてそのプレゼンのポイントを考察したり、プレゼンに関するノウハウなどを参加者で話し合うものでした。

実際に動画を視聴される本人としては拷問に近いものがあるようで、山川さんからは「恥ずかしくてしょうがない」とのことでしたが、他の参加者の方はものすごく真面目に視聴させて頂きました。

やはり、改めて見るとお二人のプレゼンは面白く(ネタとしてという側面と、ユニークなアプローチ方法という側面で)、プレゼン手法、話の流れ、どこまで台本があり、どこから場の雰囲気に合わせて変えていくか、などプレゼンバトルの審査員長でもある、名村さんの解説と合わせて聞くと新たな発見がたくさんありました。

途中には「お題をもらって最初に何から着手するか?」という質問に対しては、過去プレゼンバトルに参加された方も一緒になって意見が飛び交い、プレゼン内容を考えるにしても、人それぞれ、様々なやり方があるということを知ることができました。

発表した事を改めて振り返るという方は意外と少ないのではないでしょうか?特に「失敗したな」と思った発表や打ち合わせは思い出したくもないものですが、少し時間をおいてこうして振り返りをしてみると、新たな発見や改善のきっかけを見つけることができるかもしれません。

セッション1
「山陰PD研で学んだことを活かしてセルフブランディングしたら仕事につながった話」
(合同会社フット 岡村 旭さん)

1つ目のセッションは、山陰PD研メンバーから、合同会社フットの岡村さんによる内容でした。

山陰PD研の活動をはじめ、そのきっかけとなった名村さんを講師としてお招きした株式会社アクシス様主催の「Webディレクター養成講座」を通して学んだこと、得たことをライフワークである、お子さんの保育園の役員仕事に取り入れた結果、ブランディングに成功して仕事の話までつながったというお話でした。

過去のイベントでLTや、プレゼンバトルの登壇などはあったものの、こうしたセッションとしての登壇は初めてということでしたが、時折小ネタをはさんだ内容には、所々で笑いも生まれていました。

セッションの内容もお子さんが通う保育園での役員仕事を題材にされており、身近に感じる参加者の方もいらっしゃったため、「自分の事として聞けた」「ブランディングが徐々にレベルアップしているのが分かりやすかったし面白かった」「面白いプレゼン表現で試してみたいと思った」など、様々な意見を伺うことができました。

セッションのポイントですが、
新しい土地での生活が始まったばかりで個人のブランドが全くゼロの状態から役員を任された岡村さんが、何をポイントに行動したか?ということを実際の事例を元に順に追っていき、その様子を「ド○クエ」を用いて徐々にレベルアップしていくという表現で紹介されるというユニークなものでした。

そこでの大きなポイントは4つ

  • まず行動すること
  • それを外に見せる(発信する)こと
  • 次に繋げること
  • そして続けること

ただ、このポイントは当たり前のことだけど、それを意識して行動するのは意外と難しい。と話す岡村さん。勇気を持って一歩踏み出すと、そこからはやるべきこと(状況)が自然と生まれてくるので、最初の一歩が出せるかどうかということでした。

後日談として、登壇された岡村さんに伺ったところ、
「正直、初めての登壇に対して参加者の方々がとんでもなさすぎて軽く目眩を起こしたのを覚えています。当日の写真を御覧ください。」

「どこの企業面接かと思うでしょ?わかりやすく言うと、Lv1の村人がいきなり魔王城に乗り込んだ感じです。
 ただ、ものすごい経験値が得られました。全く倒せていないですけど。
 面白かったと言っていただけたのはとても自信につながりました。
 構成、見せ方、あとは圧倒的に場数が足りないなど、課題も多く見つかったので、是非次に活かしたいです。」

とのことでした。
今回の感想やご意見を参考に、早速登壇内容のバージョンアップに取り掛かっているということですので、再演も可能です。興味のある方は是非お問い合わせください!

セッション2「プロカメラマンに学ぶ写真講座+ポートレート撮影」

2つ目のセッションは、ゲストスピーカーとしてカメラマンの山田 真実さんをお招きし、セッション1にて登壇された岡村さんによるトークセッション形式でお送りしました。

国内はもとより、海外でも活動されていた山田さんは鳥取県出身で、現在は県内を主な活動エリアとしてフリーのカメラマンとして活動されておられます。自己紹介の中でこれまで撮影された写真を紹介していただきましたが、まず、その幅の広さ(ポートレート、張り込み撮影、風景など)に驚かされます。ポートレート一つにとっても、静的にとった写真もあれば、アスリートの動きのある写真など様々でした。

山田さんには、その写真が取れるまでの過程を実際に撮影された写真を使って解説していただけました。
普段私達は、雑誌等に掲載されている完成形の紙面しか見ていませんが、その写真が取れるまでには多くのカットが撮影され、その間には被写体とどういったやり取りが行われているかということはあまり意識しないのではないでしょうか?

また、一見するとものすごくライティングを駆使して専用のスタジオで撮影されたかと思いきや、実はとあるオフィスの会議室だったというケースも紹介され、撮り方の工夫で見え方が全く異なってしまう(その人のオーラまで映されているようでした)ということがよくわかりました。

そういった撮影の裏側を垣間見ることができる貴重な内容でした。

途中からは、参加者の方々からの質問などに応えていくフリースタイルの形式で進められましたが、質問が途切れることがありませんでした。
Webやデザインに関わる方々が多く参加されていましたので、かなり踏み込んだ質問もありましたが、山田さんからは丁寧にお答えいただきました。

特に山田さんから自分で写真を撮影される方向けのアドバイスとしてあったのは、

良い写真、綺麗な写真を撮ろうと思ったとき、ライティングにこだわるというのがあります。
もちろんライティングも写真を魅力的に撮影する方法ですが、一度、すべての照明を消して自然の光だけで撮影してみてください。

ということでした。
ライティングは単純に光を当てるものではなく、どのように影を作るかといったことまで計算されて行われるので、色々な方向から闇雲に人工的な光を使うと被写体の魅力を十分に引き出せないようで、それよりも、太陽の光を使って自然な光を受けているほうが被写体も自然な表情が生まれるということでした。また、強い光を使うのではなく、途中にレースカーテンのような薄い生地を通して光を柔らかくすると意外と良い写真が撮れるということでした。

また、今回山田さんには、本セッション以外の時間、参加者の方のポートレートやイベント風景を撮影していただいており(この時もライティングはされず、自然の光の中で撮影して頂きました)、撮れたてホヤホヤの写真をその場で見させて頂きました。(このときの写真は参加者アンケートにお答えいただいた方に無償でご提供させていただきます!)
このレポートにも随所に使用させていただきましたが、おそらくすぐに気づかれたのではないでしょうか?

その他、色々なご質問やお話が出ましたが、正直ここまで盛り上がると思わなかったため、今回イベントとして予定していた時間では足りなかったと感じました。今後に向けて「写真」をテーマにした1日イベントの開催を検討したいと思います。

懇親会(イベント終了後)

無事、今回のイベントも終了となり、最後に懇親会を実施しました。

懇親会では、毎回参加頂き、山陰PD研の活動を応援していただいている株式会社アクシスの坂本相談役に聞く、「なぜ八頭町でアクシスはスタートしたのか?」という話があったり、今回のイベントの延長線のような興味深いお話がたくさん聞けました。

また、今後に向けたイベントの構想やアイデアなど、主催者、参加者それぞれから意見もいただけ、ちょっとしたワークショップのような濃密な時間だったと思います。

今回は参加者という形で参加されていた名村さんからは「今回は登壇がなかったからとても気楽にイベントに集中して楽しめました!というのは半分冗談で、使えるうちは名村を使ってもらって全然構わないけど、今回のように自力でイベントを開催できたというのも一つの成果。次に繋げてほしいですね。」とありがたいお言葉を頂きました。

岡山から参加頂いた山川さんからも「プレゼンバトルとか、こういったイベントは岡山でも無くて、毎回すごく刺激になる。是非次回は岡山に乗り込んできてくださいよ!」と、岡山開催を期待していただくお言葉も頂きたいました。

今回のテーマでもある、「ブランディング」に繋がることとして、最初はセミナー参加者だけで繋がっていた集まりが、徐々に認知され、規模を広げてきている事を実感しました。山陰PD研にとって一つの節目にもなる、そんなイベントだったと感じました。

回を重ねるごとに、失敗を経験する毎にイベントもレベルアップしています。
次回はどんなイベントを企画するか!今から私達もワクワクします。
今回のレポートで興味を持っていただいた方がいらっしゃれば、是非次回のイベントでお会いできればと思います!

参加者アンケート

参加頂いた方々にお答え頂いたアンケート結果を少しご紹介します。

 

  • イベント全体に対しての満足度は非常に高かったことが伺えました。
  • 参加者の方の声も掲載させていただきます。新しい知見があったので
  • 「プロカメラマンに学ぶ写真講座」なら、撮影方法や知識をもっと教えていただきたかった。
  • プロフィール写真のオマケ付きは神!
  • 登壇者およびオーディエンスの熱気
  • 見学ツアーが大満足でした。 セッションの時間がもう少し欲しかったです。
  • 単発のイベント感がある。次回の案内があると、尚良いかと。
  • 組織の中で働いているだけでは分からないような、個人の視点からの気付きについて知ることができたため

 

続いて、各セッション毎の満足度と参加者の声をご紹介します。

  • みなさんがプレゼン資料を作成するのに、何から入っていくのかなど、裏側も聞けて参考になった。
  • 初参加の方の反応からも、映像だけではプレゼンの中身が伝わりにくかったようなので、映像の前にざっと内容に触れても良かったかも。
  • 他の方々も拝見したかった。
  • なぜこのプレゼンが選ばれたのかを改めて振り返る機会があって、新たな発見とさらに理解が深まりました。
  • プレゼンバトル自体に参加していたので、当時の熱量が振り返りでは伝わりにくいと感じた。

  • 面白かったし、ドラクエ風などこういうやり方をすると、人を惹き付けやすいのだと、とても参考になりました。
  • ドラクエをモチーフにレベルアップしていくアイデアがおもしろく、別の機会に使ってみたいと思った。
  • 実生活からのアプローチに説得力を感じた。
  • 共感できるか否かが鍵となる、難しいネタでした。プロセスには納得てす。

  • 山田さんの話もよかったが、今回参加した一番の目的が、写真の撮影のしかたや知識を学ぶためだったので、思っていた内容と違っていたのが残念だった。
  • 分野の違うクリエーターを司会者との対話型で登壇させるのはゲストも呼びやすいし、聞きやすいので、今後も続けたい。
  • ステキなお写真、ありがとうございます。
  • どうすればカメラマンさんと上手く付き合えるかなど知れて良かったです。
  • もう少し、実務に落とし込んだ内容も聞けたら嬉しかったです。
  • 質問時間を充分にとってほしいと感じました。

最後に

アンケートでは今回も高い満足度が得られていることが分かりましたが、一部のご意見では、広報の仕方と実際の内容とにギャップがあるなど課題もありました。特に今回は満足という評価は頂きつつ、今後の向けてのアドバイスやご意見、ご要望が多くいただけたと感じます。
頂いたご意見は今後のイベントに向けて検討してまいります。

今回ゲストとして登壇頂きました、岡村さん、山田さん、会場として利用させていただいた各施設の皆様、そしてイベントにご参加頂きました皆様、ありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。